A. 持病(服薬有無など)や既往症によって総合的に判断します
年齢がある程度高い(高齢者)の方がボツリヌス治療に適応できる症状がある場合の選択肢について考えてみます。
当院では事例はほとんどありませんが、他の治療で成果がなかったり、患者さんの苦痛を緩和できる場合は選択肢のひとつにするケースはあると思います。
ただ、第一の選択肢としては捉えない場合がほとんどです。
(理由は後述します)
強く希望される場合は、カウンセリングや検査結果の状況によって、受けられる場合もあります。
希望される方には事前の確認をいつも以上に丁寧に行います。
まずは本当に必要な治療なのか?を診察と問診で判断します。
治療が必要かつ効果が見込める状況であれば選択肢の一つになることがあります。
ボツリヌス治療は、筋肉のタンパク質に作用することで改善されるメカニズムですので、噛む力が弱くなっている場合には必要がないケースも多いと思われます。
その場合はお悩みや症状を問診で詳しくお伺いして、別の治療を提案させていただきます。
お口や唇の周り、食事のことでお悩みや不快感がある場合はご相談下さい。
【補足説明】
※65歳あたりを超えてくると一般的に「飲み込み(嚥下)」や「呼吸の機能」が年齢とともに弱りやすく、薬の作用が出すぎると“むせ・飲み込みにくさ”が悪化することがあるため、適応と用量を慎重に判断します。ボツリヌス製剤は添付文書(使用上の禁止事項や中事項のようなものとお考え下さい)でも、嚥下・呼吸の障害や全身の神経筋疾患がある方では注意が強く示されています。
特に嚥下障害が重い方や呼吸機能が弱い方では誤嚥のリスクが上がるため、必要と判断される場合は、既往歴(持病)の確認、場合によっては主治医と連携して可否を検討します